心理療法に要される基本姿勢(基本的構え)の解説です。

 

 最大の基本かつ最も重要な事は、「成功する心理療法は共構築によって進む」という事実です。

 

 共構築とは、共に協力しながら、あるものを構築するという意味です。

 

 この共構築の為には、ラポール(信頼)とそれに基づく治療同盟が必要となります。

 

 クライアントさんはお金を払い、その対価に心理療法を受けます。これも売買関係と呼べるのかもしれません。

 

 しかし、お店での売り手と買い手の関係とは異なります。

 

 スーパーなどのお店の場合、お金を払って欲しい物を入手すれば目的は達成されるでしょう。

 

 対し、心理療法の場合、最初から最後まで共構築に貫かれます。

 

 よって、「金を払ってる以上、臨床家がクライアントの課題を解決するのが当然」という考えは、適当ではないということになります。

 

 ただし、臨床家が課題解決に努めるのは当然です。

 

 では、どこが適当ではないかと言うと、「クライアントが行うべきは金を払うことのみで、後は臨床家に任せておけば良い」という考え方です。

(ここまで極端な考えを持っている方は珍しいですが)

 

 では、クライアントは何に対してお金を払っているのか?という疑問があるかもしれません。

 

 その答えは簡単で、一緒に課題に立ち向かうこと、バディを組むこと、そこで使われる技術と時間、これらに対してです。

  

 心理療法とは、クライアントと臨床家の二者関係で成立しているのではなく、そこに課題を含む三項関係で成立しているもので、クライアントと臨床家が懸命に協働し、課題に向かう作業です。

 

 単純化すると、「課題」対「クライアント&臨床家」という図式です。

 

 クライアントが主人公であり、臨床家はその仲間、課題は打ち勝つべき難敵であったり、見つけたい宝物、と例えられるかもしれません。

 

 また、自分好みの家を建てる事を想像してみても良いかもしれません。建築業者に対し、「お金は払うから好きに作って」と、デザインや使う材質、設計など、全てをお任せするでしょうか。

 

 それでは建築業者好みの家が建つことになります。平屋と離れの純和風建築が欲しいのに、とても立派な洋館が建ってしまうかもしれません。(どちらも素敵でしょうが、施主の希望と異なるのでは困るでしょう)

 

 自分好みの家を作りたいと思えば、建築業者と時間をかけて話し合い、途中経過もよく見て、修正したい所は修正し…、と理想の家という課題に対し、建築業者と施主とで協力して作り上げることでしょう。

 

 心理療法は、好みの家を建てようという時以上に、単純な売買契約とは程遠いものであり、初対面から終結に至るまで、一貫して協力体制、協働を求められるものです。

 

 家作りに例えるならば、設計から施工まで、全てを一緒に行うという事になります。

 

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